頭の中に、黒い鳥が舞い降りる。
ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
ヒッチコック経由のシャンタル・アケルマン── Film Obsessive/ネオレアリズモとオペラ的狂騒の見事な融合── Cinemanía

母はタクシーが好きだった――

マドリードで老いた父と暮らすルシアは、勤め先の会社が横領事件で倒産し、大きな転機を迎える。
タクシー運転手に転身した彼女を待っていたのは、個性豊かな乗客たちとの出会いだった。

ルシアは、かつて「トゥーランドット」のアリア〈誰も寝てはならぬ〉に導かれて出会った謎めいた隣人に思いを寄せていた。彼は自分を「トゥーランドット」の王子になぞらえて、“カラフ”と名乗り忽然と姿を消した。ルシアは自らを姫に重ね合わせて、いつか彼がタクシーに乗り込むことを夢見るが……。

Scene 1
Scene 2
Scene 3
Scene 4
Scene 5
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Scene 2
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ロマンスは陰謀へシフトする。
マドリードを駆け抜ける、スペイン発・異色のロードムービー

監督は2012年に『ヒア・アンド・ゼア』でカンヌ国際映画祭批評家週間グランプリ、2017年に『ライフ・アンド・ナッシング・モア』でインディペンデント・スピリット賞ジョン・カサヴェテス賞を受賞したアントニオ・メンデス・エスパルサ。フアン・ホセ・ミリャスの原作を『リベルタード』のクララ・ロケットと共同で脚色した。16mmフィルムで撮影されたざらついた質感とゼルティア・モンテスによる不穏な旋律が、ロマンスとサスペンスが交錯する本作の世界観を支える。主人公のルシアを演じたマレーナ・アルテリオは、ゴヤ賞をはじめ多数の主演女優賞を受賞した。